芥川龍之介の短編小説「羅生門」を読んだ。おそらく大学生の時以来だろう。主人公の下人は、「ただ、今時分ここで何をしていたのだか、それを己に話しさえすればいいのだ」と言いながら、死人の毛を抜いて蔓にしようとしていた老婆の着物を剥ぎ取ったのは、合点がいかなかったが、死ぬか生きるかの時は、理屈なんかどうでも良いのだと思った。
私が一番気に入っている文章は、ラストの「外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである」という部分だ。希望の持てない世の中の象徴として見事に簡潔に表現されている。やはり芥川は天才だ。日本もこの先どのようになるかわからない。未来は、真っ暗かも知れませんね。
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