2008年3月27日木曜日

【日本の野原に広がった西洋タンポポ】

タンポポは広く世界中に分布している。古くからエゾタンポポ、カンサイタンポポ、シロハナタンポポなどが日本にも自生していた。シロハナタンポポというのは九州や四国の一部に分布している。だから九州や四国の人のなかには、タンポポの花は白いものだと信じている者も少なくない。
しかし日本のタンポポの世界にも異変が起きている。エゾタンポポ、カンサイタンポポといった在来種が少なくなり、外国からやってきた西洋タンポポが増えているのだ。
エゾタンポポは北海道から北陸、中部にかけて、カントウタンポポは関東地方に、カンサイタンポポは主として関西地方に、そして西洋タンポポは全国の河原、公園、空き地、里山。実にいろんな場所に顔を覗かせる。 春から初夏にかけて、明るい花を咲かせた後、秋になると綿帽子(正確には冠毛)を膨らませる。
綿帽子を被ったタンポポを見つけると、息を吹きかけて遊んだものだ。タンポポの綿帽子を見ると、なぜだかそっとしていられなくなる。ついつい息を吹きかけたくなってしまう。
西洋タンポポは明治の時代、ヨーロッパから北海道に持ち込まれた。
北海道ではこの時期、欧米をお手本として酪農が始まったのだが、同時に家畜の餌として西洋タンポポが持ち込まれたのだ。
しかしこの西洋タンポポは繁殖力が際立って強力だった。日本タンポポ(こういう学術名は存在しない)の多くが、その繁殖において他の個体の花粉を必要とするのに対して、西洋タンポポは単独で繁殖(無性生殖)することができる。
さらに種子が軽く、遠くまで飛ばす能力に優れている。また日本タンポポの開花が春に集中しているのに対して、西洋タンポポは夏の間にも休眠しないという特徴がある。
その上、日本タンポポが発芽から開花まで二、三年を必要とするのに対して、西洋タンポポは一年に満たない間に開花してしまう。ありとあらゆる面で、繁殖力が優れている。これでは日本タンポポの生息領域が脅かされてしまうのも当然だろう。

(【シアワセのメルBOOK週刊マガ】Vol.112より)

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